開発請負業では、技術者のアイドル時間が発生すると、その時間は売上が立たないという業態の性質があることから、アイドル時間が発生すればするほど、企業業績は悪化します。
そのため、開発請負企業は、アイドル時間が極力発生しないよう、将来の開発案件を先手を打って、受注していく必要があるのです。 このことは、この業界の経営者なら誰でもよく分かっていることなのですが、現実にはアイドル時間がどうしても発生してしまうという現実があります。
なぜ、そのようなことになってしまうのでしょうか?
小規模事業者、中規模事業者に分けてその理由を見ていきましょう。
(1)小規模事業者の場合、社内に営業部隊がないことが多い
会社規模があまり大きくない会社は、売上規模も比較的小さいため、営業部隊を持っていることが少ないのが実情です。
それは、売上に直接寄与するエンジニア以外を雇うことで、利益を大きく圧迫してしまうからです。
営業部隊が社内にない会社は、どのようにして注文を取るのでしょうか?
昔からお付き合いのある少数の顧客企業からのリピート・追加注文をいただくとか、知人から紹介してもらうとか、社長が営業活動を行うことなどで、注文を取っていることが多いのです。
また、予算が確保できれば展示会へ出展する会社もありますが、出展費用や掛ける労力に見合った受注が得られるかというと、なかなか難しいとも聞きます。
このような事情で、小規模事業者は、必要な受注を獲得することに苦労することが多いのです。
(2)中規模事業者の場合、営業活動の努力に見合う受注が得られにくい
それでは次に、中規模事業者の場合はどうでしょうか?
中規模事業者であれば、社内に営業部隊を持っている企業がほとんどではないかと思います。
小規模事業者のところで紹介した方法に加えて、営業マンが既存顧客を回ってご用聞きに行ったり、ネット情報などから顧客になりそうな会社に目星をつけて、電話やメールなどで売り込みをかけたりします。
これらの営業活動は、その活動を行った分、一定の確率で注文が取れますので、努力に応じて受注数を増やすことができます。
しかし、このやり方は、労働集約的な営業活動であることから、頑張ってやっとのことで、エンジニアを手すきにさせないための受注を充足できるものです。 営業担当の方は、「もっと効率の良い営業方法はないものだろうか」と日頃思っています。
少し気を許せば受注不足となり、アイドル時間がまた発生してしまいます。
以上、見てきましたように、開発請負業の小規模、中規模企業のいずれにとっても、受注の絶対量が不足する1要因として、営業効率が充分に高くないことが関係しているのです。
限られた社内リソースを最大限に有効活用して、営業効率を改善していくことが、アイドル時間を短縮するための大事な方策となります。

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